生活の質向上と看護

看護師といえば、病院や施設、在宅などで医師の指示などにより、患者さんの症状の緩和や心身のケアなどを行うのが仕事です。
こう考えると、どうしても病気や怪我の症状ケアが最優先に感じてしまいますが、実はそうではありません。
看護という概念を作り上げたナイチンゲールが提唱した「全人的ケア」でも分かるとおり、人々の健康とは、患者さん一人一人の精神や身体の均衡が保たれ、その上、その人を取り囲む環境と患者さんの調和が取れている状態を言います。
つまり、病気や怪我の治療もさることながら、患者が健康になるには患者自身の生活の質が向上していかなくてはいけないのです。
たとえば、1人暮らしのお年寄りがいたとします。
足腰が痛くて病院に入院して治療を受け、症状がよくなって退院して来ました。
しかし、元気になって退院して戻ってきた家が、生活するのに不便だったらどうでしょう。
助けを求めたくても、周囲に助けを求めるすべもなかったら、その人は健康に生活しているといえるのでしょうか。
答えはノーです。
退院後も元気で健康に生活するためには、ただ単に病気や怪我の看護をしているだけではアプローチできません。
これからは高齢化社会が進み、慢性疾患や終末期ケアといった今までにはない看護も必要とされます。
そんな中、一番大切なこと、それは患者さん自身の人格であり、生活なのです。
患者さんの人格や生活の質を尊重した看護こそがこれから求められる質のよい看護といえるのではないでしょうか。
これから看護師が転職を考えるのであれば、高齢化社会で必要となる看護が提供できる職場を検討してみるのもいいかもしれません。